昨今のソロキャンプブームには目を見張るものがある。
インスタには心躍るような写真が乱射されているし、キャンプ関係のメディアも乱立しているように感じる。
何がきっかけでここまで流行したのかは知らないが、
家でゆっくりと過ごせばいいものを、わざわざ野に出かけさせるくらいには大きな魅力がソロキャンプにはあるのだろう。
私のソロキャンプ歴は10年を越える。
まだ世間に「ソロキャンプ」という存在は全く浸透しておらず、ひとりでキャンプに行くというと「一人でキャンプをするヘンテコ人間」というレッテルを貼られるような時代だった。
しかし、私はそのレッテルを背中にベタ貼りされたまま、ほぼ毎週ソロキャンプに出かけていたのだ。
ソロキャンプを愛する気持ちはそんじょそこらの人には負けない自信がある。
今回はそんな私がソロキャンプに出かける理由について語ってみようと思う。
心が疲れてしまった人や内気な人にこそ、ソロキャンプをオススメしたい。
ソロキャンプは根明な人やパリピのものではない。
なぜ一人旅ではなく、ソロキャンプなのか。
一人でできる趣味は他にも色々ある。
その中でもソロキャンプに最も近いと感じるのが、一人で出かけ、宿泊する一人旅である。
キャンプも旅行も似ている部分はたくさんある。
どちらも素晴らしい景色を見たり、美味しいご飯を食べたりという醍醐味があるだろう。
それであれば自分で準備せずとも美味しい食事を準備してもらえ、酒を飲んでゆっくり過ごし、ふかふかの布団で眠れる一人旅の方が心身ともに深く癒されるような気がする。
一人旅も好きだが、それでも私はソロキャンプに行く方が深く癒される。
なぜだろうか?
旅行とキャンプの違い
まず、旅行とキャンプの違いを考えてみる。
大きな違いが自然の中に長時間身を置くということではないか。
旅行でも素晴らしい自然に触れることはできる。
しかし、そこに長時間滞在するということはないと思うし、じっと座って過ごすということはあまりないと思うのだ。
キャンプはキャンプ場に訪れてから帰るまでずっと自然の中にいる。
そして、テントを張れば、そこからあまり動くこともない。
これは感覚的なものなので、実際にキャンプに行ってみないとわからないと思うが、同じ場所にずっと佇んでいると、どんどん自分が溶け出して、自然の一部になっていくような感覚になるのだ。
簡単に言ってしまえば「癒し」ということになるのだろうが、そんな言葉では足りないくらい深い感覚なのだ。
グループとソロの違い
グループやカップルで行くキャンプとソロキャンプ。
どちらにもそれぞれ楽しさはあるし、どちらが良いという話ではない。
ただ、真に日常から解き放たれて癒されるのはソロキャンプだと思う。
グループで行くキャンプは心から楽しめない可能性をはらんでいる。
実際、行って後悔したこともある。
しかし、ソロキャンプに出かけて後悔したことはただの一度もない。
自分の思うようにことが運ばなくても、だ。
忘れ物をしたり、炭をなかなかつけられなかったり、肉を丸焦げにしてしまったり、酒をぶちまけてしまったり、、、。
それでもそんなものは思い出にしかならない。
グループキャンプでそういったミスを起こすと、咎められて悲しくなってしまうか、咎められなくても逆に申し訳なさが助長されてしまうかだろう。
カップルキャンプだったらもたついている姿を見せてしまうと、冷められてしまうかもしれない・・・。
誰かと行くと、ちゃんとやらなければというタスク感が出てしまうのだ。
ソロキャンプではむしろ逆でいい。
失敗しそうなことや、やったことがないことにこそあえて挑戦すればいい。
普段なかなかできない「リスクを取る」ということを積極的にやればいいのだ。
肉が丸焦げになったって、それだけのことだ。
その時のために保険で別のものを買っておけばいいし、まる焦げの肉を齧ってみたって良い。
日常のストレスから真に解き放たれるにはやはりソロキャンプが良いように思うのだ。
そしてソロキャンプでスキルを磨いてからグループキャンプに挑むと、皆に重宝がられていいかもしれない。
日程調整不要。行きたい時に行けるからこそ、満足度も高い。
一人なのだから、誰かと予定を調整する必要もない。
二人くらいならいいが、大人数になると、なかなか調整がつかず、時間が経つ間に、手間と労力に見合った満足感を果たして得られるのかという不安が頭をもたげ始め、もう行くのが嫌になったりする。
実際行ってみると、やはりそこまで楽しくなかったりして、こんなことならソロキャンプに行けばよかった、こんなに金を使うのなら新しいギアを買えばよかったとか思ってしまうのである。
嫌になる、とまではいかなくても行きたい熱が最高潮の時に行くのは難しい。
一人であれば行きたい熱が最高潮の時に行けばいい。
最高潮の時に行っているからこそ、キャンプでのひとつひとつの作業やイベントがとても楽しく感じられる。
大らかな気持ちできっと失敗すら楽しめると思うのである。
ソロキャンプは自分で手を動かす環境に身を置け、その難易度を調整できる。
簡単なことでも自分の手を動かすことに大きな価値がある
キャンプ経験のない人がいきなり、一人でキャンプに出かけるのはハードルが高いと感じるかもしれない。
でも、設備の整ったキャンプ場を選び、時間に余裕を持って行動すればそれほど問題はないように思う。
いきなり凝った料理を作ったりしなくたっていい。
惣菜を買っていったり、レトルトのカレーやカップ麺でもいい。
テントを立ててみる、寝袋で寝てみる、焚き火を見ながらぼーっとしてみる。
まずはそれだけでいい。
ソロキャンプはこんな感じで難易度を自分で容易に調整できる。
難易度は選べるけど、なにかしら自分で手を動かしてやらないといけないのだ。
これが心が疲れてしまった人には良い。
私も鬱を経験したり、今も離婚協議中で心が崩壊し、 日常生活がままならなくなった。
でも、ソロキャンプに出かけ、自分でやらざるを得ない状況に身を置けば、意外とできることに気づき、少しずつ自信を取り戻したのだ。
まずは優しいモードで始めよう。
いきなりワイルド山男に憧れて、ハードモードから始める必要はない。
うまくいかないだけでなく、キャンプなんてもうやりたくない、と思ってしまうかもしれない。
少しずつキャンプを楽しめる素養を養っていこう。
それでも不安があれば「ソロキャンプにグループで行く」
もしどうしても一人で行くのが不安であれば、「ソロキャンプにグループで行く」のがおすすめだ。
矛盾しているようだが、グループで行くのは行くが、それぞれ自分のテントを張り、自分の飯は自分で作る。
拠点はそれぞれ構え、夜になればゴソゴソ這い出してきて、焚き火前に集い、酒を飲み、語り合う。
ソロキャンプとグループキャンプのいいとこ取りで、一緒に出かけられる気心の知れた友人がいるのなら一番おすすめのスタイルだ。
焚き火を眺めながらの語らいもキャンプの最大の魅力だと思う。
ソロキャンプはパリピのものではない。内向的な我々のものだ。
以前までであればキャンプときくと夏休みに家族で出かけるものというイメージと、イケイケな大学生の男女グループが河原や海でワイワイやるみたいなイメージを抱く人が多かったように思う。
しかし、ここまで読んでいただけた方にはそうではないことが伝わったのではないだろうか。
ソロキャンプはパリピのものではない。
内向的な我々のような人間こそ楽しめるものだ。
私は辛い時、いつもソロキャンプに縋ってきた。
ソロキャンプは深い癒しを与えてくれ、同時に自分の手を動かすしかない状況に身を置くことができる。
自分の身の回りのこともできないほど心が疲れてしまった人にも、まだ自分は大丈夫だという自信をくれると思う。
ぜひ一度、必要最低限の道具を揃えて、野に出かけて欲しいと思う。
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